お子さんが、豊かな言葉に日々触れられているかどうか

2023年01月14日

 先日、ベネッセさんの教育情報サイトで、このような4コマ漫画を読んで、思わず笑ってしまいました。

 上の子どもが、「別に」、「忘れた」、「うぜぇ」の3語だけで会話を済ませるようになったと、下の子どもに相談したお母さん。その下の子どもに、「ママだって3語だと思うよ」と逆に指摘されてしまうというオチです。

 大人でも語彙力不足に悩む人は少なくないようですが、やはり日常生活の中では、誰もが同じような言葉のパターン化された会話をしがちです。家庭でも、なかなかボキャブラリーに富むコミュニケーションをとるのは難しいものです。

 しかし、それを放置しておくと、子どもが豊かな語彙に触れる機会が乏しくなってしまいます。これでは、学びの基盤としての日本語力がはぐくまれる機会が少なくなってしまいます。

 国語道場では、12月と1月の毎週日曜日、千葉県公立高校の過去問題演習会を実施しています。

 千葉県公立高校入試の国語では、何十年も漢字の読み取りと書き取りが出題されます。漢字テストだといえばそれだけのものではありますが、なかなかよく練られています。

 2016年度の問題には、「しきんせき」という言葉を漢字で書けという問題が出ました。

 大人でこれを書けないという人はほどんどいないと思いますが、中学生にはなかなか難しいようです。県教育委員会のデータでも、この問題の正答率は低いです。正答率11パーセント。そして注目すべきは無答率。「無答率」とは、解答用紙のその問題の所が白紙であった割合です。それがなんと44パーセント。半分近くが何も書けなかったということです。

 正解は、「試金石」ですが、はっきり言って「試」の字も「金」の字も「石」の字も少しも難しくありません。おそらくそれぞれの字を知らないとか書けないと言う中学生はほとんどいないでしょう。しかし、それが「試金石」という熟語になると途端に分からなくなってしまうんですね。

 これは、子どもたちが日々たくさんの言葉に触れられていないことの証左だと思います。「試金石」という言葉をためしにGoogleニュースで検索してみてください。この言葉が使われたニュースが大量にヒットします。

 つまり、普段から新聞を読んでいたり、ニュース番組を見たりしていれば、この言い回しには何度も出くわしているはずで、試金石そのものがどういうものか見たことがなくても、何か「バロメーター」みたいな意味の言葉だということを知ることができたはずです。

 ちなみに、試金石というものはこのようなものです。

 試金石って那智黒石なんですね。私も当時調べてどういうものか初めて知りました。金と思われるものをこれにこすりつけると、そのこすった跡から純度が分かるという道具です。そこから、真価を測るものの比喩で使われる言葉になっています。

 上の漫画のように、なかなか家庭内でバリエーションに富んだ言葉に触れさせるのは難しいでしょう。だから、人為的に豊かな言葉に触れられる環境を作ってあげることが大切だということになります。

 国語道場が西千葉地区で独占的にご提供している読書指導「ことばの学校」は、そのような点から言っても優れた教材です。様々なジャンルの良書350冊をしっかりと読ませ、その中に出てくる豊富な語彙をワークを使って確認し、身につけさせることができるからです。

 千葉県公立高校入試の漢字の問題、これは単純に漢字のテストではなく、これまで生きてきた約15年間の中でどれほど豊かな言語経験を積んできたかを問う「試金石」だということができるでしょう。受験の時期だけの付け焼刃的な国語対策では、全然間に合いません。

 中学の最初、いや小学生からしっかりとした国語指導を行っている、西千葉で唯一の個別指導の塾が、国語道場です。