ジャガー横田さんのお子さんが高校受験で落ち続けてしまう理由

2022年03月12日

プロレスラーのジャガー横田さんのお子さんが高校受験に臨んでいて、その顛末をSNSで公表しています。

私ジャガーさんのお子さんについてよく知らなかったのですが、ネット上で高校受験の結果が思わしくないというニュースが最近いやでも目に入るようになっていました。そして先日、「5校目も不合格」という見出しが目に飛び込んできまして、ちょっと驚いたものですから、状況をいくつかのネット記事を読んで調べてみました。

かなり特殊なケースではありますが、ともすると同じような状況に陥りかねないような考え方をしてしまう親御さんもまれにいらっしゃいますので、注意すべき部分について私見をさし挟ませていただきたいと思います。

一つ目の受験校は、伝統ある大学付属系の高校であったようです。総進図書のランキングだと、偏差値67のところに記されていました。なかなかの難関校です。

ここを不合格になったというのは、まあ力不足ということで、仕方がなかったということになるかと思います。

難関高校は多くの場合入試が一般学力試験しかありません。したがってそこに入るためには難しい入試問題を解けるだけの学力を身につけなければならず、それができなければ不合格になるということです。

問題は、その他の受験校です。

本人が公表したなどの理由で明らかになっている学校の一つは、最近校名変更した高校だったようです。もう一つは中央線の駅近くにある高校です。

両校とも併願優遇制度がある高校です。

「併願優遇」とは中3の時点で内申点が一定以上に達していれば、ほとんどの場合合格の確約がもらえるというものです。千葉県内の私立高校の「併願推薦」と同様のものです。

ネットのニュース記事を見ておりますと、どうもジャガーさんのご家庭では何らかの理由でこの併願優遇制度を利用せずに、一般学力試験を受けているようです。

併願優遇制度を利用しなかった理由は、単純に内申点が基準に達していなかったからではないかと想像します。また、それほど入試が難しいとされていない高校だから、一般で受けても受かるんじゃないかと思ったということもあるのではないでしょうか。

内申が足りないので併願は使えないけど、一般で受けたら受かるんじゃないかという発想は、一見理に適ってはいますが、入試のしくみを知っている者から見ると危険な落とし穴があるものだと申し上げられます。塾をやっておりますと、同じような考え方になる親御さんに出会うことがありますが、私は基本的に全力で止めます。そのわけをお話しします。

基本的に、併願優遇をやっている高校を一般で受けてはいけません

理由は簡単で、そこそこ学力があっても簡単に落とされてしまうからです。

どういうことか。つまり、併願優遇をやっている高校にとって一般入試は「調整弁」なんですね。これは、私立高校の立場を想像すれば容易に理解できます。

併願優遇制度は、高校と中学校との約束です。「これだけの内申点をとっている生徒だったらうちの高校は必ず採りますよ」ということを高校が中学校に約束しているわけです。

もしこの基準を満たしていた生徒を不合格にしてしまったらどうなるか。その高校と中学校との関係は壊れてしまいます。もしかすると次の年度はその中学校からの受験者が激減してしまうかもしれない。そんなことはできるはずがありません。

一方で、一般受験をする生徒は高校にとっては「一見さん」です。その受験生について、中学校とも何のしがらみもありませんから躊躇なく落とせます。

結果としてどういうことが起こるかというと、併願優遇制度を使った受験生がたくさん集まった年度は、高校は一般受験者をバシバシ落とします。逆に併願優遇の受験生の集まりが悪い年度であれば、一般入試の受験生の合格者を増やします。私が一般入試を「調整弁」と呼ぶのはそのような理由からです。

ゲスの勘繰りですが、「不合格を出す」ということは、高校としても「魅力的な」側面があるのではないでしょうか。うちの高校は誰でも入れるようなところじゃないよということを、世間的にアピールできますから。

どうでしょうか。自分が今年受ける高校の併願優遇利用者がどれくらいいるかなんてことは実際ふたを開けてみないと分からないことですので、そもそもの最初から併願優遇をやっている高校を一般受験してはいけないというセオリーになるわけです。

とはいえ、内申基準が足りなかったら一般入試を受けるしかないではないかと言われる方もいることでしょう。

まぁ、全然足りなければ一般受験するしかありませんが、多少のことであれば、併願優遇が使えないかどうか少しは粘ってほしいところです。

併願制度の合格基準については、どこの高校もある程度許容範囲を設けているものです。英検・漢検など資格試験の級位であるとか、皆勤、生徒会や部活・クラブチームでの活躍等々、基準に満たない部分を埋める要素は何かしらあるのではないでしょうか。

基準に達していないときほど保護者には前向きな姿勢が必要です。必ず学校説明会に行き、個別相談を受けるべきです。そこで内申点が足りていないことを包み隠さず相談しましょう。

可能性があるならば、高校側から何らかの提案があるはずです。それをクリアできれば、合格確約ゲットです。

また、併願優遇はだめだけれども、一般受験に回ってくれと言われることもあります。この場合は、完全に「一見さん」で受けるのとは違ってきます。多少下駄をはかせてもらっての受験となるはずです。

完全にダメであれば、はっきりとそう伝えてくれます。その時はいさぎよくあきらめましょう。

ジャガーさんのお子さんの受験から我々が学ぶべきことは、とにかく中学校や高校のあずかり知らぬところで勝手に受験しないことです。遠慮せずにきちんとコミュニケーションをとっていけば、着実に合格校を積み重ねることができるはずです。